Cerezo lab

セレッソ大阪の研究・分析ラボ

【2018/07/28 J1第16節】 セレッソ大阪VSベガルタ仙台

@ユアテックスタジアム仙台 19:03キックオフ

試合前レビュー

台風が近づく中での仙台戦。中2日と厳しい日程だが、なんとしてでも勝利がほしい。相手は苦手意識のある仙台。ケガで離脱していた柿谷もベンチ入りを果たした。

GK 21キムジンヒョン
DF 2松田陸 14丸橋祐介 15木本恭生 22マテイヨニッチ
MF 6山口蛍 11ソウザ 17福満隆貴 24山村和也
FW 9杉本健勇 13高木俊幸

試合レビュー

今日は清武、柿谷を怪我で出せない中ではベストと言って良いメンバーで臨んだ。鹿島戦よりは良くはなっていたものの、守備が安定せずここ数戦と同じくサイドの裏を狙われ続ける。丸橋、松田は攻撃時に武器となるのでそこはチームとしてカバーしたいところだが、ボランチのバランスが悪くセンターバックでカバーし切ることができない。また、攻撃に関しても両サイドがワイドに張りすぎ、個々が孤立し、集団で攻撃を仕掛けることができない。福満が入っていたのでそこの問題は解消されるように思っていたが、うまくいかず。前半は仙台のミスの助けもあり、1-1で折り返す。

後半は出足がよく、ポゼッションを高く保てていたが、なかなか攻撃の糸口が見つからない。山村、杉本がサイドに流れてアクセントをつけ、サイドバックサイドハーフと形を作りに行く際はうまく崩せるが、中の人数が足りなくなり決定打が生まれない。また彼ら2人は守備時にも高さを生かすために戻る必要があるため、体力を奪われ続ける。やはり中盤4枚のバランスが急務だろう。サイドハーフはいまのセレッソの特徴だとあまりワイドに張りすぎずに中で崩しに加わる必要がある。ボランチ2枚はもっと縦関係を意識する。そしてチームとしてまずは守備で崩されないということをファーストプライオリティーとする必要があるだろう。

中断明けなかなかペースを掴みきれないセレッソ。それでも今日終了間際に引き分けに持ち込んだことは今後に小さな光を残したであろう。明るい要素としては柿谷の復帰。やはり彼が入ると丸橋がより活かされ、攻撃のテンポを変えれるのでチームが蘇る。今日は木本の攻撃のスイッチも非常に良かった。彼の縦パスは単調な攻撃を繰り返すセレッソの数少ないアクセントになっていた。

さて次節はまた中3日でイニエスタ率いるヴィッセル神戸戦。巻き返しのためにもここでなんとしてでも1勝をあげておきたい。

試合結果

セレッソ大阪 2-2 ベガルタ仙台
得点者:丸橋x2

【2018/07/25 J1第14節】 セレッソ大阪VS鹿島アントラーズ

@長居スタジアム 19:03キックオフ

試合前レビュー

猛暑の中、前節浦和戦から中3日の鹿島戦。日程の関係上1試合少なかったセレッソはここで上位との差を縮めておきたいところ。

GK 21キムジンヒョン
DF 4藤本康太 14丸橋祐介 16片山瑛一 23山下達也
MF 6山口蛍 7水沼宏太 25山内寛史 32田中亜土夢 43オスマル
FW 9杉本健勇

試合レビュー

セレッソは真夏の12連戦を考慮し、ターンオーバー制を敷く。前節から4人のスタメンを入れ替え、特に山内はJデビュー戦と注目の試合となった。連携不足からか立ち上がりからあまりいい形を作れず、逆に好調の鹿島はうまくセレッソのすきを突いてくる。特に右サイドの水沼、片山の部分は大きな穴になってしまっていた。鹿島は19歳の阿部が左サイドで躍動。脆い片山の守備を結局1試合通じて疲れまくった形となった。特に田中、片山あたりはこの試合で戦力となれることを示しておきたいところだったが、期待できないことが証明されてしまった結果となった。

以前からそうだが、個人としてみるとオスマルも山口も能力が高いが、二人の組み合わせに難を感じる。ふたりとももともと飛び出していって攻撃を活性化させるのではなく、引いた位置から長短のパスを使い分けて引き出しを使うことが得意なため、FW2枚が孤立しがちになる。これは前線とDFラインの間延びにつながるため、特にこの夏場は非常に厳しい。結果今日の後半などは守備のときはFWとMFの間にスペースが空きすぎカウンターが使えず、逆に攻め上がったあとはDFラインとMFの間があきすぎ鹿島に数的優位でのカウンターを幾度となくくらうこととなった。ソウザと高木を出すことによってここを解消しにいったが、2点取られてからでは万事休す。前半をあの出来で0-0で折り返せたので、後半頭からその二枚で攻撃に行きたいところだった。また、杉本との組み合わせも現状では柿谷の復帰を待つかあるいは山村を使い続ける以外に難しいことが明るみとなった。山田など、将来有望な選手にかけるのも手だとは感じる。今日の中盤の課題さえクリアできればFWはまだまだ如何様にもなる。杉本も得点が取れていないので批判の対象になってしまいがちだが、あの中で結果を出せというのも酷な要求である。兎にも角にも中盤のバランスの修正が必須だ。

明るい要素としては、高木の伸びと藤本の守備だろう。特に藤本はここ最近は怪我が多く、年齢も重ねてきたため不安もあったが、全く問題なく高いレベルでの守備を体現できることを証明しただろう。次節はすぐに土曜、ユアスタでの仙台戦。セレッソは仙台はあまり得意ではないが、仙台も調子を落としているため、ここで1勝をなんとしてでも上げておきたい。ターンオーバーもわかるが、ここまで調子を落としているとなるとまずリーグでの目の前の1勝を掴むことが最重要課題ではないだろうか。

【2018/05/20 J1第15節】 セレッソ大阪VSサンフレッチェ広島

@エディオンスタジアム広島 16:03キックオフ

公式記録 https://www.cerezo.jp/matches/2018-05-20-16/

試合前レビュー

W杯を目前に控えた中断前最後のアウェーでの試合は首位広島。優勝争いから振り落とされないためにも絶対に負けられない試合となる。セレッソは清武、杉本、ソウザなど怪我から復帰してきたメンバーが多く、なんとしてでも落としたくない一戦だ。

GK 21キムジンヒョン
DF 2松田陸 14丸橋祐介 22マテイヨニッチ 23山下達也
MF 6山口蛍 10清武弘嗣 17福満隆貴 43オスマル
FW 9杉本健勇 18ヤンドンヒョン

試合レビュー

復帰の清武、杉本がスタメン出場を果たし、トップは柿谷ではなくヤンを配置。前半はボール支配率こそ五分五分だったが、さすが首位を行く広島。サイドからの崩しの質、相手ボールに鳴ったときの守備の連動は見事。どうみても前半は広島のプラン通りであっただろう。ヨニッチ、山下も現在得点ランキング首位のパトリックを警戒してはいたが、広島はパトリック頼みの攻撃でもないので、お手本通りのサイド攻撃でなんどもセレッソゴールを襲われた。セレッソは清武が入った分ボールは落ち着くのだが、まだ本調子ではないのか決定的なアクセントにはなりきれない。

杉本、ヤンの2トップの狙いとしては、広島は守備の質が高いので(アプローチのタイミング、連動性等)、空間を使った攻撃に糸口を見つけたかったのだと思われる。試合を通してこの狙いはあまり成就していたとは言い難いが、結果として高木の1点目はまさにそこをついたものだったので、ユン監督の采配を褒めるべきであろう。ここでやはり頭にかかるのが柿谷の存在。本人たっての希望で今年はFWをしているようだが、去年のセレッソは今回のようにトップでは空間をつき、中盤で崩しを行うということが徹底できていたことによる攻撃の破壊力が合った。その鍵は左サイドの柿谷、丸橋コンビであり、杉本、山村の2トップであった。私が過去のレビューで書いているが、なかなかセレッソの攻撃に迫力がないのはひとえに左サイドの攻撃の劣化だ。丸橋のアシスト数を見てほしい。クロス数で比べれるとベストだが、圧倒的に去年を下回っているはずだ。今日、高木は2ゴールして試合を決定づける活躍をしたが、何度も丸橋とのコンビミスが見られた。そこを改善していかない限り去年のような質を出すのは難しいだろう。

守備に関してはここに試合に続きオスマルと山口のバランスが非常に良いので中盤で何かバグを起こすという心配はあまり見られなくなった。ただ、今日の広島に対する守備で明らかになったようにセレッソは組織での守りにほころびが大きい。また、今日のパトリックに対する丸橋のように、サイドバックのミスマッチを狙ってこられると非常に厳しくなるだろう。丸橋の守備を許容する大きな理由は攻撃にあったので、攻撃がうまく行っていない以上この守備をよしとするのは少しばかり厳しい。丸橋が悪いというよりは、チームとしてここをどう改善していくかを考える必要があるだろう。

試合を見た方は了解しているだろうが、今日のゲームは完全に広島のものだった。はっきり行って今期のセレッソはあまりうまくいっていない。ここでW杯の中断に入れるのは代表メンバーが多くいないセレッソにとっては非常にありがたいところだろう。中断明けの立て直しに期待したい。(今期はそれでも勝ち点を積み上げられているのがいままでの歴史のセレッソとの違いとみれば、非常に良いことなのだが。)

【2018/05/05 J1第13節】 セレッソ大阪VSフィファーレン長崎

@長居スタジアム 15:04キックオフ

公式記録 https://www.cerezo.jp/matches/2018-05-05-15/

試合前レビュー

ここ2試合を引き分けで迎えた今節、ここが本当の正念場。この引き分けをよしとするかどうかは今節の結果次第。さらにホームでの試合なので絶対に落とせない一戦となった。

GK 21キムジンヒョン
DF 2松田陸 14丸橋祐介 22マテイヨニッチ 23山下達也
MF 6山口蛍 17福満隆貴 43オスマル
FW 8柿谷曜一朗 13高木俊幸 18ヤンドンヒョン 

試合レビュー

前節に続きオスマルとホタルがボランチに入ったが、オスマルはホタルと横並びではなく、DFとの間におちてセカンドを狙いつつインターセプトも狙うので、非常に守備のバランスがよくなる。前半の出だしが良かったのは彼のポジショニングの良さが光った結果だろう。 オスマルは長短のパスを織り交ぜられるので、前線での柿谷とコンビネーションが合いだすと以前の扇原とのホットラインのような関係性を築くことができそうである。

ただ、ボランチに関して言うと、攻撃に移った時のポジショニングが気になる。特にサイドバックからサイドハーフあるいはトップがサイドに流れてそこにボールが入った際、もう一人のトップとボランチの一枚が絡むポジショニングが気になる。入ったタイミングで並行でボールを受けれている時はそこからの早い展開で脅威になっているので、ここはひとつセレッソの攻撃の大きなポイントだろう。ただ、連戦でフォローが遅くなっていることは致し方ない部分もあるのは確かだ。

前半は終始良いゲーム運びだった。ご存知の通り柿谷のスーパーテクニックでのゴールと丸橋の俊輔バリのフリーキックは見事。 前半のMVPは柿谷とオスマルを指名したい。

前後半ともに立ち上がり5分の守備での出足が非常に良いのでここ最近の2節のような展開にはならなかった。守備で出足が良い時はボールの取りどころがチームとしてはっきりしていて流動的にボールが取れる。セレッソの試合を通じての良し悪しはこの取りどころが作れているかどうかでほぼ決まるので、ここにまずは注目して良いだろう。

後半開始10分過ぎから徐々に長崎ペースになりだしたが、ここも問題はボランチとDFラインの関係性にあった。長崎の前線にトリッキーな形があるので、ボランチインターセプトを狙いづらくなり、DFラインに吸収され、空いたボランチのスペースを長崎に良いように使われ始めた。結果、DFラインの押し上げが効かず、ラインが下がりすぎ、そこを狙われた失点。クロスを上げた選手はそこをよく見ていた。その後も攻められるが、幸い長崎は細かいところでの技術的な問題が散見されるので、そこを狙いに徐々にペースを取り戻していったセレッソ。ここで引き戻したことは非常に評価できるが、これを上位陣相手にもできるようになっていかなければならないのが今後の課題だろう。

さらにこの失点直後に光ったのはユン・ジョンファン監督の采配だ。失点直後に慌てずに流れを読み、流れが戻ったところで問題点に蓋をしにいったのは見事だ。 71分に福満、柿谷を下げて水沼、山村を投入

調子は良さそうであったし、相方のヤンドンヒョンが全くこの試合ではよくなかっただけに、柿谷は不満が残ったであろう。ヤンは湘南戦などは前線でタメを作り、非常に効果的だったが、その後はこの試合含めあまり効果的な働きを見せられていない。彼にポストプレーが難しいのであれば彼を1トップ気味に前線に張らすのではなく、柿谷をトップに置き、中盤にヤンを落として一つ低いポジションでビルドアップの助けにさせたほうが柿谷の飛び出しもいかせて良いのではないだろうか。

両サイドの福満と高木に注目すると、今節は高木の良さは非常にでていた。最後のアシストも良かったが、積極的にドリブルを仕掛け、シュートまで行くシーンも多く見られた。ただ、やはりいつものごとく丸橋と高木のコンビネーションの悪さは気になる。高木にはボックス気味に中で受けられるようになって欲しい。そうすると丸橋のアシストは飛躍的に増えるだろう。前年を見ているだけに丸橋のアシストが封印されている今の状況はもったいない。逆に福満は少し可愛そうではあった。福満はどちらかというと清武のように中でボールを受けて、連携の中で自分を活かすタイプだが、左サイドが高木でワイドに張るのが好きなタイプなので思うようなボールの出し入れを行うのが、柿谷以外と合っていなかった。そんな中でもいくつかの見ごたえのあるシーンを作り出せたのは彼のポテンシャルの高さだろう。

最後になるが、相変わらず山口蛍とヨニッチは素晴らしかった。

あとがき

次節はセレッソにとっては分水嶺になりえる首位広島戦。2週間の休みがあり、杉本も復帰の可能性があるので是非ワールドカップ開始前最後の試合は勝ちで終わりたい。

【2018/05/02 J1第12節】 セレッソ大阪VS名古屋グランパス

@パロマ瑞穂スタジアム 19:03キックオフ

公式記録 https://www.cerezo.jp/matches/2018-05-02-19/

試合前レビュー

W杯までの連戦続きも残り2つとなった中での名古屋戦。相手は現在8連敗中で、これに負けるとワースト記録タイに並ぶ状況なので非常に強い気持ちを持って来ると思われる。一方セレッソ杉本健勇が怪我で2週間の離脱が発表された。急遽こちらも怪我で離脱という情報があったヤン・ドンヒョンが遠征帯同。スタメン復帰を飾る。

GK 21キムジンヒョン
DF 2松田陸 14丸橋祐介 22マテイヨニッチ 23山下達也
MF 6山口蛍 10清武弘嗣 17福満隆貴 43オスマル
FW 13高木俊幸 18ヤンドンヒョン

試合後レビュー

大雨の中行われた試合は0-0の引き分けに終わった。端的に言うと清武が前半20分あたりで怪我で退いたのが一番の勝てなかった要因だろう。清武復帰前、セレッソは左に高木、右に水沼を配置して試合に臨むケースが多かったが、この二人はワイドに大きく開いて縦に打開したいタイプなので、中盤が空き、ホタルと山村がゲームを作らざるを得ない状況にあった。そしてその二人はビルドアップスキルはあるがバイタルでの工夫や崩しの部分は得意としていないので、結果単調なサイドからのクロスボールに終止するという結果に終わっていた。

今日のゲームは2試合前くらいから調子を上げてきた福満と、復帰後好調な清武の両ワイドでスタートしたが、この二人はトップ下でも働けるいわゆるゲームメーカータイプなので、ボールを受ける際にワイドで受けすぎずにボックスで動くことができる。このようにサイドがボックス的に受けると両ワイドが空き、そこにサイドバックがオーバーラップできるので、結果的に松田と丸橋のクロスが効果的なアクセントとなる。もちろん二人は中からの崩しもバリエーションとしてあるのでこちらも脅威だ。

実際、清武が退くまでは右サイドを清武と松田にボランチが絡んでうまく完全に崩せていた。名古屋の左サイドバックのホーシャは能力は高いが連戦の疲れが見て取れたのでこの攻撃は有効になっていくように思われただけに清武の離脱は痛かった。

その後は前回のジュビロ戦同様、攻めの形が作れず、というより模索しながら試合が終わってしまったという感じだろう。今日は相手の前線にジョーがいたので、パスが入るタイミングでホタルはよくサンドで山下やヨニッチ挟み込んでうまくボール奪取していたが、その分比重が守備に向き、いつも以上にゲームを作るところには参加しづらかったようだ。いない選手の名前を出すのもあれだが、こんな時ソウザがいてくれたらボランチとトップ下の間でうまく顔を出してゲームを作ってくれることだろうと感じざるを得なかった。

ガンバ戦以降の流れの良くないセレッソの現状を見ていると、本当に仙台に逆転できた試合の勝ちが大きい。また、判定に助けられた前節のジュビロ戦の引き分けもありがたかった。次の長崎戦はひとつの正念場になるだろう。ここで勝ちを拾えなければ上位進出は難しい。