Cerezo lab

セレッソ大阪の研究・分析ラボ

【2018/05/20 J1第15節】 セレッソ大阪VSサンフレッチェ広島

@エディオンスタジアム広島 16:03キックオフ

公式記録 https://www.cerezo.jp/matches/2018-05-20-16/

試合前レビュー

W杯を目前に控えた中断前最後のアウェーでの試合は首位広島。優勝争いから振り落とされないためにも絶対に負けられない試合となる。セレッソは清武、杉本、ソウザなど怪我から復帰してきたメンバーが多く、なんとしてでも落としたくない一戦だ。

GK 21キムジンヒョン
DF 2松田陸 14丸橋祐介 22マテイヨニッチ 23山下達也
MF 6山口蛍 10清武弘嗣 17福満隆貴 43オスマル
FW 9杉本健勇 18ヤンドンヒョン

試合レビュー

復帰の清武、杉本がスタメン出場を果たし、トップは柿谷ではなくヤンを配置。前半はボール支配率こそ五分五分だったが、さすが首位を行く広島。サイドからの崩しの質、相手ボールに鳴ったときの守備の連動は見事。どうみても前半は広島のプラン通りであっただろう。ヨニッチ、山下も現在得点ランキング首位のパトリックを警戒してはいたが、広島はパトリック頼みの攻撃でもないので、お手本通りのサイド攻撃でなんどもセレッソゴールを襲われた。セレッソは清武が入った分ボールは落ち着くのだが、まだ本調子ではないのか決定的なアクセントにはなりきれない。

杉本、ヤンの2トップの狙いとしては、広島は守備の質が高いので(アプローチのタイミング、連動性等)、空間を使った攻撃に糸口を見つけたかったのだと思われる。試合を通してこの狙いはあまり成就していたとは言い難いが、結果として高木の1点目はまさにそこをついたものだったので、ユン監督の采配を褒めるべきであろう。ここでやはり頭にかかるのが柿谷の存在。本人たっての希望で今年はFWをしているようだが、去年のセレッソは今回のようにトップでは空間をつき、中盤で崩しを行うということが徹底できていたことによる攻撃の破壊力が合った。その鍵は左サイドの柿谷、丸橋コンビであり、杉本、山村の2トップであった。私が過去のレビューで書いているが、なかなかセレッソの攻撃に迫力がないのはひとえに左サイドの攻撃の劣化だ。丸橋のアシスト数を見てほしい。クロス数で比べれるとベストだが、圧倒的に去年を下回っているはずだ。今日、高木は2ゴールして試合を決定づける活躍をしたが、何度も丸橋とのコンビミスが見られた。そこを改善していかない限り去年のような質を出すのは難しいだろう。

守備に関してはここに試合に続きオスマルと山口のバランスが非常に良いので中盤で何かバグを起こすという心配はあまり見られなくなった。ただ、今日の広島に対する守備で明らかになったようにセレッソは組織での守りにほころびが大きい。また、今日のパトリックに対する丸橋のように、サイドバックのミスマッチを狙ってこられると非常に厳しくなるだろう。丸橋の守備を許容する大きな理由は攻撃にあったので、攻撃がうまく行っていない以上この守備をよしとするのは少しばかり厳しい。丸橋が悪いというよりは、チームとしてここをどう改善していくかを考える必要があるだろう。

試合を見た方は了解しているだろうが、今日のゲームは完全に広島のものだった。はっきり行って今期のセレッソはあまりうまくいっていない。ここでW杯の中断に入れるのは代表メンバーが多くいないセレッソにとっては非常にありがたいところだろう。中断明けの立て直しに期待したい。(今期はそれでも勝ち点を積み上げられているのがいままでの歴史のセレッソとの違いとみれば、非常に良いことなのだが。)